2001年12月のトピックス 近藤元治先生のハイパーサーミアの本 菅 原 努 |
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この本では近藤先生は得意の話術で、臨床の実例から始まり、ガンとは何か、それを攻めるには孫子の戦法ではと難しいところは、架空の医学生Q子君との問答を交えながら肝がん化学療法の研究の経過を解説しておられます。そこでお得意のフリーラジカルも飛び出します。これで治療成績は随分と良くなったが、それでも7センチを超える大きな腫瘍はうまくいかないのです。そこで温熱併用へと発展していきます。著者も書いておられるように、この本は医療関係者だけのものではなく、ガンに悩んでおられる患者さんとご家族にも理解できるように書かれています。 最後に最近注目されているTumor Dormancy Therapy(化学療法でがんの縮小を目指すのではなく、がんをそれ以上大きくならないように眠らせておくことを目指す療法)に言及し、これにハイパーサーミアが役立つのではないかと提案されています。これは私もかねがね思っていたことで、諸手を挙げて賛成するところです。 今度こそ、この本が広く読まれると思いますし、それによってハイパーサーミア(がん温熱療法)が広く行われるようになり、患者さんに喜んでもらえるようになることを期待しています。近藤先生は肝臓がご専門ですが、最近では肺がんにも温熱療法が活躍していることは、このホームページの読者はご存知の通りです。臨床家の努力でますます広くこの療法が使われるようになるでしょう。 註:高橋 豊:Tumor Dormancy Therapy――癌治療の新たな戦略 |
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