2005.9.9

             
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リスクと生活

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号外No.1
新刊紹介:菅原 努著
「安全」のためのリスク学入門 (昭和堂)



(有)石田ライティングの石田民雄さんが菅原先生に宛てられたお便り(書評)をご紹介します。


2005年8月7日

菅原先生、ごめんください。

 この度は、先生の最新のご著作 「安全のためのリスク学入門」 をお贈りいただきまして、ありがとうございました。

 早速、読ませていただきました。その感想を申しあげます。

 まず、とても読みやすい、分かり易い文体でまとめられている点が、気に入りました。今までの先生のご著作の中では もっとも読みやすい文体であるのと、文章構成がなかなか巧みだと思いました。最後まで読者の興味を持続させる内容構成であることから、本当に最後まで一気呵成に読んでしまいました。この種の著作ではめずらしいことです。そのくらい、面白い読み物でした。リスクの考え方は、100年を超える歴史を持つ放射線研究が生んだ貴重な成果であることが、このご本を読んでよくわかりました。

 放射線防護という分野は 「リスク」 という概念を活用することで、現在起きている害だけではなく、将来起りうる害にまで問題意識を広げ、取り組みを行った唯一の分野であることから、この試行錯誤のプロセスをもっと他の分野でも検討され、応用されるべきではないか、と先生は主張されております。まさにその通りだと思います。日本人にはなじみにくいリスクという概念をこのようなわかりやすい文章で、しかも放射線防護の歴史的な経過をたどりながらの説明は、リスク概念を理解させる上での最高の教科書だと思います。

 それにしても、このような分り易い文体で先生の原稿をまとめあげた萬野さんという編集者の力量はたいしたものです。萬野さんとの共同作業は大成功だったと思います。このような著者と編集者の共同で文章を作りあげる試みは、この菅原先生の最初の試みを皮切りに、今後いろいろの学者の方がトライしてみる価値があると思います。

 この 「安全のためのリスク学入門」 は、放射線防護に関心のある方だけではなしに、世の多くの方々に読んでいただく価値がある、すばらしいご本です。私も多くの方にPRさせてもらいます。

石田民雄
(有)石田ライティング