Books (環境と健康Vol.17
No. 4より)
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日本科学技術ジャーナリスト会議編
科学シャーナリズムの世界:真実に迫り、明日をひらく |
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(株)化学同人 ¥2,400+税
2004年7月10日発行 ISBN4-7598-0974-0 C0040 |
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さすがに科学技術ジャーナリスト会議の面々が分担執筆しているだけあって、上にあげたような私の疑問はもとより、さらに突っ込んだ議論を展開しています。近頃珍しい自己批判も含めた前向きの本で、感心しました。一番大切なことはジャーリストは科学者と市民との間に立って、それを噛み砕いて分かり易く伝えるというだけではなく、中立的な立場での批判、評価を怠ってはならない、という点ではないかと受け止めました。ことに最近の生命科学技術の進歩とその活用のはらむ多くの問題に対して単に現状を伝えるだけでなく、市民の立場からの批判が必要だと思うのに、それが殆どなされていないことを憂えてきた私にとって、この本には大いに力づけられました。 大学が新しい独立行政法人になって、それが積極的に広報に務めるのはよいのですが、そのために今まで新聞社などに属していたジャーナリストが、大学の広報にかかわる例が増えてきています。そのことの含む問題点、大学の活動ことにそこでの研究成果を分かり易く伝えるのはよいとして、それでジャーナリストの批判精神はどうなるのか、という指摘は貴重なものだと思います。 日本では科学雑誌が振るいませんが、それをどうすればよいかについて、外国での成功例は、私の知らないものを含め大いに参考になりました。New Scientistのようなものでも、表紙の出来不出来で売れ行きが左右されるという説明に、驚きまた感心さされました。 研究者も市民も、文句ばかり言わないで、この本にあるような未来を見つめたジャーナリストの努力と進歩を支えることで、我が国の科学と技術とが本当に社会と共に歩むものになっていくのを楽しみながらその活動を見守ろうではありませんか。 折角の機会なので、初めの方にある「科学記事が苦戦する理由」から抜書きしてみます。
(Tom)
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