2002.4.1

健康指標プロジェクト
 
 タイトルの変更について
 


 この度Indexに示すタイトルを「要素非還元主義に基づく健康効果指標の研究」から「健康指標プロジェクト」に変更しました。それは分かりやすく親しみやすいことを目指したからで、内容には変更はありません。この機会にもう一度このプロジェクトの趣旨をご説明し、皆様の参加をお待ちます。

 この「健康指標プロジェクト」は1999年1月に「要素非還元主義に基づく健康効果指標の研究」という(財)体質研究会の研究プロジェクトとして始めたもので、21世紀を目指した新しいプロジェクトと考えていました。21世紀に入った2001年1月からは、新たに(財)慢性疾患・リハビリテイション研究振興財団が加わりより強力になり、月一回(3,7,8月を除く)の公開の講演会を行い、平行してその成果を順次まとめて、「シリーズ21世紀の健康と医生物学」(昭和堂)を発行しています。

 20世紀は要素還元主義が大きな成果をおさめ、ヒトゲノムの解読でその頂点を極めたように思われました。新しい21世紀には、それを乗り越えて、ゲノムから蛋白へ、そしてそれらが組み合わさってシステムとして生命を作り上げていく過程を理解することが目標になるでしょう。このような今までの自然科学の流れは、要素を見つけそれらを積み上げて形作っていくという順問題ですが、他方こころは、いのちは、という現実からその成り立ちを見極めていく逆問題的発想も大切ではないかと思います。このように順問題と逆問題との間を行きつ戻りつしながら、健康とはなにか、それを左右するものは何か、という課題を目指して行きたいと思っています。その為にこの研究会の主査を分子生物学の山岸秀夫京大名誉教授に、副主査を心身医学の中井吉秀関西医大教授にお願いし、分子から心までの幅広いレパートリーをカバーするように配慮してもらっています。勿論それ以外にいろんな異なる分野の研究者に委員として参加して頂いて、テーマや演者の選定、応募研究課題の選考などを行っています。
 
 私たちの研究会の例会である毎月の講演会は広く開放しており、いろんな分野の研究者だけでなく、科学に関心のある市民の方も参加されます。専門分科の壁を破るというのも大切ですが、さらに広く社会に向かって科学者が心を開いて自分の仕事を語ることも、それに劣らず大切です。少し欲張っていると思われるかもしれませんが、人々の健康とそれを守るために科学者は何を考え、何をしているのか、を市民に理解していただく窓口の一つになれればということです。市民とともに歩む。これも21世紀の科学にとってもう一つの大切な点ではないでしょうか。

 詳細については、ご関心のあるところを開いてみて下さい。

平成14年4月1日

 
 財団法人慢性疾患・リハビリテイション研究振興財団
財団法人体質研究会