平成16年健康指標プロジェクト講演会要旨 |
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第50回例会記念講演会
「知のフロンティア−健康といのちの科学をめざして」 (7月3日(土) 13:00〜17:00、「芝蘭会館」稲盛ホール) |
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知識社会と科学技術政策 −果てしないフロンティアを拓くために |
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井村裕夫 (元京都大学総長) |
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近代工業社会は1980年頃にピークに達したが、その頃から世界に大きい変化が起こった.それは「知識革命」とも呼ぶべきもので、情報通信技術の目覚しい進歩とバイオサイエンスの勃興によって、知識が大きい価値を持つようになったためである.このような知識社会では知の創造とその確保、活用が重要であり、そのため国家は様々な施策を実施する必要に迫られている.それらは研究開発への国家の投資の増加と適切な評価による効率化、知的財産権の確保、産学連携の推進などである.わが国においては科学技術基本法に基づき、総合科学技術会議が司令塔となって、多くの施策を実施しつつある. 知識には普遍性があり、国境にとらわれず速やかに拡散する.知識社会は、その意味でグローバル化の進む社会である.知識はまた激しく進歩する性質を有しており、知識の価値の上昇に伴う研究者増加と相俟って、激しい国際競走を招くこととなる.そのため様々な分野で目覚しい進歩が期待されるが、とくにゲノム解読の進む生命科学、ユビキタスネットワーク社会をもたらす情報通信科学、ナノテクノロジーを基盤とした材料科学の進歩が期待される.また地球環境の制約から、エネルギー科学と環境科学も重要な分野となる. 科学には果てしないフロンティアがあり、その開拓は人類に大きい夢をもたらすことになる.しかし、あまりにも速やかな科学技術の進歩は人間社会に様々な問題を生じさせることとなり、科学と社会の関係が重要な問題となる.
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