2003.5.3
 

 平成15年健康指標プロジェクト講演会要旨

第40回例会記念講演会
(5月17日(土) 13:00〜19:30、京都パークホテル)
生命継承の原理を理解する

柳田 充弘
(京都大学大学院生命科学研究科)
 


 染色体はすべての真核生物の核中に存在し、遺伝物質であるゲノムDNA(染色体の1セットに含まれる全DNA)を担う構造体で、生命を継承するうえで根幹に位置する。染色体の振る舞いを通じて生命を理解する「染色体生物学」は細胞周期制御の理解に伴って、近年著しく進展した。本講演では、染色体生物学の中心課題である、染色体が細胞から細胞へ正確に「伝達」するのはいったいどのような仕組みなのか、伝達されるために細胞の中でいかにして染色体は振る舞うのか、それは何によって制御されているのか、細胞が二つの娘細胞に分裂するときに染色体はいかにして均等に「分離」して、「分配」されるのか、このようなトピックスについてお話ししたい。

 タンパク質分解が染色体の分配に重要な役割を果たすことを強調したい。細胞周期制御の根幹因子であるM期サイクリンのユビキチン化分解機構と同一なメカニズムが染色体分配制御因子であるセキュリン/Cut2の分解機構に当てはまる。サイクリンの分解によりCdc2キナーゼは不活性化する。いっぽうでセキュリン/Cut2の分解によりそのパートナーであるセパレース/Cut1の活性化が起こる。この分解機構を共有することにより、細胞周期制御と染色体分配制御が協調することが保証される。

 セパレースは染色体の合着因子であるコヒーシン複合体のサブユニットであるRad21/Scc1を分解することにより、染色体分配が進行する。セパレースは巨大な分子であり、コヒーシン以外の基質を有するであろうし、またタンパク分解活性以外の活性も有する可能性がある。本講演では、セパレースの可能な標的因子を探索する新たな試みとその成果についても発表したい。

 

 
 

 

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