平成13年健康指標プロジェクト講演会要旨 |
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第27回(12月15日(土) 14:00〜17:00、京大会館)
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ヒト組織工学の臨床応用を目指して
-指の再生:骨・軟骨・腱の再生技術- |
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磯貝 典孝 (近畿大学医学部形成外科) |
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従来の断端形成術では、指が短くなるという形態的変形のみにとどまらず、しばしば、手の機能障害を残す。一方、機能温存を目的とする人工骨や人工関節置換術では、骨吸収によるゆるみ、金属疲労による破損、骨頭部の摩耗など改善すべき点も多く指摘されている。また、耐久性が保証されていないため、現状では、その適用は高齢者に限られている。 このような状況において、手指欠損の再建治療では、足趾を顕微鏡下に血管吻合を行って手部に移植する術式(toe-to-finger transfer)が、現在、最も一般的に行われている。しかし、この方法では、足指を失うという点に問題があり、小児や女性への手術適応は極めて制限されている。 この問題を解決し得る治療法の1つとして、近年、組織の再構築に関わる再生工学、tissue engineering が注目されてきている。 この tissue engineering では、(1)特定の組織を作り出す細胞、(2)その細胞の足場となる基質、(3)細胞増殖や分化をコントロールするサイトカイン、(4)組織生着を左右する血行の4つの要素を組み合わせて組織再生を促している。これまでの研究において我々は、指を構成する骨、軟骨、腱のそれぞれの細胞を生分解性ポリマーに組み込み、これらを組み合わせて移植する事により、指骨・指関節が形成できることを示した。そこで本発表では、指骨格の再生に必要な骨・軟骨の再生技術を紹介し、組織新生における播種細胞の役割について解説する。
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