2001.5.24
 

 平成13年健康指標プロジェクト講演会要旨

第23回 (6月16日、14:00〜17:00、芝蘭会館 研修室2)
先端医療と生命倫理

西川 伸一
(京都大学大学院医学研究科 遺伝医学講座,
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター)
 

     

  これまで科学と社会というと、二つの独立したセクションが対峙する単純なスキームであらわし、相互の関係として両者の間に細い双方向のラインがかかれるのが普通であった。しかし、戦後様々な領域で科学自体のreliabilityが著しく上昇したことを背景に、社会と科学や技術をこれまでのスキームで捉えられない時代が来ている。NowotonyやGibonsは現代の社会をMode2の社会と呼んでこの問題にいち早く気付き、また精力的に調査研究を行っているが、ほとんどの科学者や医者はこの変化に気付くことなく今に至っているように思える。そして、これまでと異なり社会が科学に語りかける現場で、環境や生命倫理の問題として、この変化をうすうすと感じ始めている。今回、仲野博士により紹介されるES細胞は、様々な問題が一点に集中する科学技術として、多様な領域階層の人々を巻き込んだ議論が日本で行われている独特の研究分野である。この中には、本年6月から発行するヒトクローン法も含まれるが、この問題についてのこれまでの歴史、現在の状況について報告すると共に、新しい社会における科学者の責任の問題について考えてみたい。

 

 
 

 

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