2001.2.16
 

 平成13年健康指標プロジェクト講演会要旨

第20回 (3月3日、13時〜17時、京大会館101)
生命を癒す
医療評価のパラダイムシフト−健康関連QOL

福原 俊一
(京都大学大学院医学研究科理論疫学分野)
 

     

  日常行われている医療行為を系統的にかつ定量的に評価するためのアウトカム研究が、北米を中心に約20年前より活発に行われるようになった。このアウトカム研究においては、死亡率や合併症の発生率、検査値の変化、などのいわゆるハードなアウトカム指標だけではなく、患者の視点に立脚したよりソフトな指標も国際的に取り上げられるようになった。 QOLは、このソフトなアウトカム指標の重要な一つであると考えられる。特に生活習慣病に代表される慢性疾患患者にとっては、生命余後の改善はもちろん第一義的な関心事ではあるが、慢性期の主観的な健康度やこれによる日常生活機能への影響も患者にとっては同じ位 重要な問題である。

 このような背景から、特に慢性疾患を対象としたアウトカム研究は早くから取り上げられている。

  QOLにはハードなアウトカムにはない以下のような特徴がある。

  1. 患者の視点に立脚した健康指標である
  2. 患者と健康人、という境界線をひかずに、主観的な健康とおよび日常生活機能を連続的にとらえかつこれを定量 化している
  3. 患者自身が直接報告し、それが医師の解釈をせずにそのままデータとなる
  4. 身体機能、心の健康、日常役割機能、社会生活機能など多次元に測定される
  5. 死亡率や治癒率などの二値変数ではなく、連続量として測定されるので、大きなサンプルサイズを必要としない

  SF-36は、健康人にも患者にも適用できる包括的な健康関連QOL尺度の代表的なものの一つである。この尺度の説明、および臨床研究への応用の実例もあわせて報告する。

 

 
 

 

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