2001.2.21
 

 平成13年健康指標プロジェクト講演会要旨

第20回 (3月3日、13時〜17時、京大会館101)
がん予防と食品成分

大東 肇
(京都大学大学院・農学研究科生命科学専攻)
 

 

 がんを克服するための方策として、近年、治療にも増して予防の重要性が叫ばれている。なかでも、食品または食品成分による「化学予防」に期待されているところは大である。これまで、A, C, Eなどの抗酸化性ビタミンやカロテノイドなどについて種々検討されてきているが、最近、さらに植物性食素材中の特殊成分にも目が向けられるようになってきた。著者らはここ数年、がん予防に有望な植物性食素材(野菜や果物)の評価や予防性特殊成分(フードファクター)の究明、さらにはその効果発現機作などの研究を、特に発がんプロモーション抑制の観点から展開してきている。

 本講演では、以下の順に、広範な食素材のスクリーニング結果、得られた特殊成分についての動物実験的成果および作用機序について述べ、これらの成果をヒトレベルで生かすための今後の研究方向について紹介したい。

簡便な in vitro 発がん抑制試験

  1. エプスタイン‐バーウイルス(EBV)活性化抑制試験(抗発がんプロモーション試験)
  2. スーパオキシド産生抑制試験
  3. NO産生抑制試験

がん予防に有望な食材

 上記in vitroスクリーニングで評価できた食材について述べる。特に熱帯(亜熱帯)東南アジア産植物の有効性について紹介する。同時に、ショウガ科やミカン科など特殊成分を含む食材の有効性をも紹介したい。

発がん抑制性食品因子と動物実験成果

  1. ショウガ科由来の予防性食因子:1’-acetoxychavicol acetate(ACA,ナンキョウ)、zerumbone(ニガショウガ)などをを例に紹介する。
  2. 柑橘由来の予防性因子:auraptene(ナツミカン)、nobiletin(多様な柑橘)などを例に紹介する。

作用機序

 ACAおよびaurapteneを例に、発がん抑制の側面からは、スーパーオキシドやNOなど生体内フリーラジカル産生阻害の重要性を紹介する。

予防性因子の生体内動態

 発がん抑制物質をヒトがん予防に応用するためには、その体内動態を明らかにしておく必要がある。この研究については、ようやく手掛け始めたところであり、未だ十分な成果は得られていないが、aurapteneやnobiletinについてその一端を紹介する。

 

 
 

 

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