平成11年健康指標プロジェクト講演会要旨 |
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第9回 (12月18日、14時〜17時、京大会館102)
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医療面に生かされるファジィ理論
ファジィ理論を用いた医療診断ロジック −医療情報の特性と活用− |
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有田 清三郎
(関西医科大学 教養部数学科) |
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コンピュータは、社会のあらゆる分野に驚異的なスピードで広がり、その波は医療の世界にも着実に押し寄せています。医療分野においても、医療計測、データ管理・解析、医療診断、生体制御、人工臓器、薬物管理、会計事務等、例を挙げれば限りない程のコンピュータが使用されています。この場合に取り扱われる医療情報は、「血圧150(mHg)」、「体温38.5℃」、「WBC9800」等の数値情報がほとんどであります。 しかしながら、医学の世界では、医師と患者の問診時の「血圧がやや高い」、「 熱がある」、「腹部に痛みがある」、「体がだるい」等、現在のコンピュータでの単なる数値処理ではとらえきれないものが多く、生体特有の幅を持った“あいまい情報”としてとらえて情報処理できるコンピュータが切望されていました。「人間のあいまい情報をYES、NOではなく、あいまいさを生かして測る(活用する)ことが出来ないだろうか」、このような人間を主体にした素朴な問から生まれたのが、ファジィ理論です。ファジィ理論は1965年にアメリカのカリフォルニア大学Zadeh教授によって提唱され、1990年代にファジィエアコンなどの家電製品や仙台の地下鉄に応用されています。 ファジィ理論は厳密な数値や式ではなく、「かない」、「やや」などの輪郭がぼやけたあいまいな情報を用いて、より人間に近い判断をすることができます。医療の世界にファジィ理論、ニューロサイエンス、カオス理論により不明瞭な情報、医学などの専門職の主観に基づく情報、完備していない情報等を積極的に取り扱い、人間の判断により近い次世代エキスパートシステムを構築したいと思っています。 私は、医療の世界がファジィ情報そのものであり、このファジィ理論を医療分野に応用できるのではないかと考え、超音波癌ファジィ診断システム、麻酔時における血圧ファジィ制御システム、ファジィ理論により術後感染症診断システムなどの研究開発を行っています。また、カオス理論やファジィ理論を用いた糖尿病血糖値の時系列データの短期予測システムを開発中です。 本講義では、このようなファジィ理論の医療応用の具体例を題材にして、ファジィ理論とその応用をわかりやすく解説する予定です。
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