平成11年健康指標プロジェクト講演会要旨 |
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第4回 (5月22日、14時〜17時、京大会館102)
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健康指標としてのインターフェロン系
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宗川吉汪
(京都工芸繊維大学応用生物学科) |
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インタ−フェロン(IFN)は抗ウイルス作用、細胞増殖抑制作用、免疫調節作用をもつ サイトカインの一種である。IFNは細胞表面にあるレセプターに結合して様々な遺伝子の発現を誘導する。現在、120種以上ものIFN誘導タンパクが知られているが、2',5'- オリゴアデニル酸合成酵素(2',5'-oligoadenylate synthetase; OAS)、二本鎖RNA依存 プロテインキナーゼ、Mxプロテイン、IRFファミリーなどがIFNによって特異的に誘導される。そのためこれらのタンパクの性質がよく研究さている。そのうちOASはIFNによる 応答性がよく、微量のIFNによって誘導されるため、IFN作用のモニターとしてOASの誘 導が利用されてきた。例えば、IFN製剤の投与効果を血清中のOASの誘導で見ることがで きる。OASは二本鎖RNAと結合して活性化され、ATPを基質として2',5'-オリゴアデニル 酸(2-5A)を合成する。2-5Aは不活性型RNaseLに結合してそれを活性型に転換させる。活性型RNaseLはmRNAやrRNAを分解してウイルスや細胞の増殖を抑制する。実際、動物にウイルスを感染させると直ちにOASが誘導され、その後、抗ウイルス抗体が生産されてウイルス増殖が終焉する。しかし、IFN/OASはウイルス感染によって初めて誘導されるわけ ではなく健常の動物個体の様々な器官に常に存在する。これらはウイルスの初期の感染を防禦すると同時に、その後のウイルス増殖の抑制に機能すると考えられる。本例会で はIFNが動物の健康維持にどのように機能しているかわれわれのOASの研究を中心に考察 したい。
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