update: 2002.4.22
(2012.12.21 リンク修正)

 
サーモトロン(ハイパーサーミア治療装置)の実際
 

 このホームページを通じて月に10〜15件のがん患者またはその家族からの問い合わせがあります。 それを見ると大きく二つの群に分けられるのではないかと思います。

a)主要病巣を摘出したあと、転移がある又はその可能性があるので、 化学療法が必要である、もしくは処置なし、と言われた段階の方。

b)次々と浸潤や転移が広がり、病勢の進行が止められない状況になって、 何か他に方法は、と思って尋ねてこられる方。

 温熱療法によって完治でなくとも、延命やQOLの向上を期待しうるのは、 このうちのa)の場合です。 このような場合に是非温熱療法を併用する可能性についてご検討頂きたいと思います。 これは約1年患者さんからの相談をうけた経験をふまえてのお願いです。

 ハイパーサーミアと、放射線との併用では、 せんがん、肉腫、骨腫瘍等の放射線抵抗性の腫瘍の感受性を上げることが期待できます。

 ハイパーサーミアと化学療法との併用では、 抗がん剤の種類により抗癌作用の増強が期待できます。 従って薬品の投与量をへらすことにより、副作用を抑えしかも効果を上げることが期待できます。

 これらを一定のコースで行った後に残存腫瘍があるときには、 温熱単独を繰り返し行い、更なる縮小を期待することが可能です。 蓄積的な副作用はありませんので、何度でも追加治療が可能です。


1)医療関係者の方に
2)治療を受けたい方に

1)医療関係者の方に

 癌の治療には、手術、放射線、化学、免疫の各療法がありますが、近年はハイパーサーミアが大きな注目を集めています。ハイパーサーミアは癌組織を加温する治療法です。

 癌が熱に弱いことは19世紀の中頃から知られていましたが、近代科学に基づく組織的な研究が始められたのは1970年代からです。しかし、生物学上の理論的根拠の明確化、科学技術の発展による加温装置の開発などとあいまって、急速に普及してきました。

 ハイパーサーミアは電磁波を用いて加温を行いますが、使用する周波数によって特性が異なります。たとえばマイクロ波は、エネルギーが体の表面や浅い部分に集中して吸収され、深部までは到達しません。また温度分布が不均一になりやすく、その適用部位は限定されます。

 一方、RF(Radiofrequency)波は透過性がよく、特に人体の加温には8MHz帯が最も適していることがわかりました。

 サーモトロン-RF8は、この8MHzのRF波を採用したハイパーサーミアシステムで、新技術開発事業団の委託のもとに、日本および米国の医学、物理学の権威者との多年にわたる共同研究によって完成されたものです。

 サーモトロン-RF8は、相対向する平板電極の間に加温する部位を介在させるキャパシティブ方式です。対向する電極を大小組み合わせることによって、浅部から深部まで、それぞれの病巣の深さに合わせた選択的な加温を可能にしました。また、RF波出力は1500Wまで使用することができ、加温部の固有周波数の変動にも即同調するセルフ・エキサイテッド発振方式を採用しているため、効率的な深部臓器の加温が可能で、かつ均等な分布を得ることができます。

 1996年4月、ハイパーサーミアはそれまでの治療実績が認められ、健康保険に導入され一段と広く普及するようになりました。とりわけ、著明な成果をあげているサーモトロン-RF8はハイパーサーミア学会、癌治療学会など医学会からも高く評価されていますので、これからサーモトロン-RF8を導入される施設におかれましても必ずや優れた臨床成績を上げられることと確信いたします。



2)治療を受けたい方に

 頭蓋内を除く殆どすべての部位の腫瘍に適用して好結果を得ています。しかし、部位、進展度などによって難易がありますので、次の施設に受診の上御相談ください。

 ◆ 症例: 肺癌とハイパーサーミア
  (あるメール交換の記録から 2001.4.17更新)

 国内設置中の一部施設を紹介します。

 ◆ http://www.taishitsu.or.jp/hyperthermia/hyp5.html

 


お問い合わせ先: thermot@taishitsu.or.jp