2007.6.1

 
 
科学の前線散策
 
 
6. ビタミンCは錠剤より果物で

菅 原  努


 

 

 ビタミンCはもともとその欠乏が壊血病の原因であるとして発見されたものである。しかし最近では抗酸化剤として注目されている。その効果を期待するのに沢山売り出されている錠剤でも、オレンジなどの果物でも効果は同じだろうか。イタリアのミラノ大学の Serena Guarnieri らはこれを簡単な実験で解明した。彼らは被検者に、それぞれオレンジジュース、ビタミンC水、砂糖水を飲ませ、3時間と24時間後に採血した。ビタミンCの血中レベルはジュースでもビタミン水でも当然ながら同じように上がった。この血液をDNA障害を起こす過酸化水素で処理したところジュースを飲んだ場合のみ障害が防護された。砂糖水はもとよりビタミンC水にも何の効果も見られなかった。オレンジジュースにはビタミンC以外に何かがあり、それらが共同で作用しているようである。

 

追加説明:この「科学の前線散策」には文献など科学的な出典が何も書いてありません。それは一般の方に肩肘張らずに気楽に読んでいただこうと気持ちであえて省略したのです。実はここに紹介した内容は私たちが編集出版している季刊雑誌「環境と健康」に、余白の埋め草として書いている「Random Scope」によっています。そこには出典が英文で紹介してあります。ご興味のある方は雑誌の目次からタイトルで探してください。同じタイトルを使っています。「環境と健康」についてはこのホームページの“出版物のご案内”をご覧下さい。