2007.4.3

 
 
科学の前線散策
 
 
3-2. 追加号外

菅 原  努


 

 

 この欄で新しい制癌剤の可能性の考えられるDCA(ジクロロ酢酸)について紹介しました。その後ある患者さんの家族から日本でもある民間の病院が臨床試験を提案されていることを教えられました。ところが近着のNature(29 March 2007)にこの問題を論じている記事がありました。一寸気になる内容なので、前に紹介した責任上それを急いで紹介しておきます。Nature では次のように報告し、忠告しています。

 カリフォルニアで害虫駆除の会社を経営するJim Tassano という人が、自家製のDCAの配布と患者交流のために 2 つのウェッブサイトを開いています。これでデータも集めようというのです。他方この研究を始めたMichelakis は、DCA は安全そうに思えるが、彼らが行った臨床試験は、末梢神経障害が起きて中止した、と忠告しています。これも対照群がないので確認は出来ないそうです。患者さんとしては一日も待てない気持ちは分りますが、やはり薬はきちんとした手順で開発するべきものです。