現代は「飽食の時代」。日本人の脂肪摂取量はここ20年で急増し、食物繊維は急下降してきました。長い間、栄養学的には「食物のカス」という扱いだった食物繊維は、今では「第六の栄養素」とまで呼ばれる重要な役割を担うようになりました。今回はその食物繊維にスポットをあて、食物繊維とは何なのか、どんな働きをしてるのか、色々と調べてみました。
〓食物繊維ってなに??〓
食物繊維(ダイエタリーファイバー)は糖質の一種で、人間の酵素では分解されない成分の総称です。つまり、消化・吸収されないので、栄養にならない栄養素といわれてきましたが、今では生活習慣予防の切り札として期待されています。
食物繊維は「水溶性」と「不水溶性」とに別れており、働きも少し違います。
◎水溶性(SDF)…ワカメや昆布などに見られるネバネバ状の食物繊維で、水に溶け、コレステロールや発ガン物質などが、腸から吸収されないように防いでくれる。
◎不水溶性(IDF)…サツマイモやごぼうなどに見られるスジのような食物繊維で、腸の壁に付いた老廃物や発癌物質などを取り込みながら、腸を刺激し排泄を促す。
〓食物繊維の働きは??〓
食物繊維には肥満・糖尿病・高血圧を防いだりコレステロールを下げる・発がん物質や有害物質を外に出す・お通じを良くしたりします。食物繊維をしっかり食べれば腸の動きが活発になり、便の量が増えスムーズに体外に排出されます。便秘が怖いのは、大腸がんの引き金になることが考えられるのです。
〓食物繊維を摂ろう〓
第二次世界大戦の終わり、太平洋の各地で日本兵がどれだけ残っているかを、アメリカ兵は日本兵の残した便の量で兵隊の数を推測したそうです。その結果300名と判断された日本兵の数は、実際は1/3のたった100名足らずでした。つまり当時の日本人の便の量はアメリカ人の3倍だったのです。日本人が3倍も便を排出していたのはそれだけ食物繊維を摂っていたからといわれています。食物繊維は消化されないため便の材料となり、腸を刺激して排泄を促します。しかし現代の日本人の平均摂取量は、50年前と比べ半分足らずの約15gです。厚生省による目標摂取量は一日成人で20〜25g。食材別の下表を参考にしてあと5g摂ることをを目標にしましょう。
表:食物繊維5gに相当する食品とその量
キャベツ
(1/2コ)
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レタス
(3/4コ)
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トマト
(4コ)
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キュウリ
(6本)
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ごぼう
(1/3本)
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人参
(1本半)
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さつまいも
(1本少々)
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キウイ
(1コ少々)
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りんご
(1コ半)
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バナナ
(2本弱)
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大豆
(大さじ3)
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小豆
(大さじ3)
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ひじき
(大さじ2)
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切り干し大根
(24.6g)
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キクラゲ
(約10枚)
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干し椎茸
(4枚)
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〜食物繊維の上手な摂り方〜
- 欠食せずに1日3回3食しっかり食べよう。この時に、必ず野菜料理をつけること。
- 和食で食物繊維を十分摂ろう。昔の日本人の典型的な和食は食物繊維がたっぷり。1 日1回は和食を摂ろう。
- 毎日食べる米に、精製度の低い胚芽米や玄米などのバリエーションを!!同じ米でも、 精白米より胚芽米、胚芽米より玄米に食物繊維は豊富に含まれています。また、精白米
に麦などの穀類を加えるのもgood idea!
- 生野菜より温野菜。野菜は生だとかさが多くて一度に沢山食べるのが大変。熱を加える とかさが減って沢山食べられ、その分、食物繊維も沢山摂れる。
食物繊維を多く含む食品は、低カロリーのものが多いです。ダイエット中の人でも気にせず沢山食べられます。しかし極端に多く摂りすぎると、各種の栄養素が吸収されにくくなったり、消化・吸収される前に排泄されてしまうこともあるので気を付けましょう。また繊維質の食品を沢山摂るときには、カルシウムや鉄、ビタミンなども多めに補給しましょう。
食生活の改善は現在のライフスタイルの下では困難です。食べ物から十分に食物繊維を摂ることが難しければ、前回お話しした健康食品やサプリメントを参照して頂いて、上手に利用してみるのもいいでしょう。
(財)体質研究会
武田・西野
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