2003.2.1

 


菅原 努

 

26. 老いては子に従え!

 


 昨年の暮れに娘夫婦が我が家の大掃除を手伝いに来てくれました。その時に娘から「今度またこんな本を出しました」と言って、置いていったのが単行本「ロストプロセス・ジェネレーション--昭和50年代生まれ、こころかたち」というものでした。それを読んだ私は正月の祝いにきた彼女に「中身は面白いが、カタカナ英語の表題は問題だし、また昭和50年生まれと言っても今何歳か一寸計算が大変で、それならむしろ西暦を使うべきだろう。」と批判をしました。ところが正月の気分も収まろうとしている1月13日(成人式の日)の毎日新聞朝刊の第一面にある「余禄」にこの本の記事があるのを家内が見つけたのです。

 そこでは「大人になることは、****」と成人式の日らしい書き出しで始まって中に次のような文章があったのです。

“豊かさと情報化の中で、子供と大人の境界がはっきりしなくなった。精神的・文化的な通過儀礼というプロセスを重ねずに育っている若い世代を、サントリー不易流行研究所は「ロストプロセス・ギェネレーション」と名付けている。”

 これを読んで、成る程わが娘はこうして新しい概念と言葉を作ったのか、とハット気づいたのです。歳を取ってはいるものの、こうして毎月何か感想や意見ときには批評のようなものを書いているので、何時も時代の流れは理解しているつもりでいましたが、この毎日新聞の記事を読んだときには、つくづく「やはり、老いては子に従えと言うが、本当にその通りだ」と痛感したのです。自分では社会の動きを出来るだけ追いかけ理解しようと努めているので、それをよく理解しているつもりでいたのですが、矢張り第一線で社会に接している世代にはとてもかなわない、むしろそれをもっと立てるべきであると気づいたということです。世代交代の大切さは分かっているつもりでも、自分のことになると難しいものです。これからはこのことを頭においてこの「八十路からの健康談義」を書いていくように心がけます。皆さんもその積もりで読んでください。

 なお、私の娘は2児の母ですが、上記研究所の実質的な責任者として、社会の動きに関する研究成果を次々と本にして出版しています。上記のものはその中の一番新しいものです。