2003.12.1
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菅 原 努
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7.「老い」をめぐる二冊の本 | ||||
実は私の関心は乳酸菌ではなく、この本の初めの部分にある「老衰の研究」「人間の生命の延長をくわだつべきか」で人々の死に方を論じ、天寿を全うすることの必要性を論じているところです。この天寿とは一体何でしょうか。最近の死亡広告を見ても、老衰死というのは殆どなく心不全とか肺がんとか生活習慣病と言われているものが殆どです。寿命が延びただけかえって病死が増えたのでしょうか。私の曾祖母は94歳で亡くなりましたが、私達がお別れにいくと、沢山の曾孫に送られてあの世へいけるのは嬉しいと喜んで、そのあと寝むりにつき、1週間後に眠るように亡くなりました。これが天寿だと思ったのです。 この二冊の本にも、何となく誰が天寿を全うしたかなどを期待して読み始めたのです。でもその意味ではこれらの本は期待はずれでしたが、老いの生き方という意味ではいろいろと教えられるところがありました。安西さんの方は日本、中国、西洋の「老境の行き方」を探っています。津本さんの方はむしろ晩年までのすざましい生き様を幾つかの例で示してくれます。私には安西さんの本の方が何となく親しみを感じました。ご参考までに本の帯から内容をご紹介しましょう。 安西篤子著 老いの思想:古人に学ぶ老境の生き方 草思社 2003年5月 津本 陽著 老いは生のさなかにあり 幻冬舎 2003年9月 あまりにも皆立派すぎて、では私もそのように、という感激が沸かなかったといっては、立派な両著者に失礼でしょうか。最後の秀吉の場合は子供の秀頼が出てきましたが、我々とはレベルが違いすぎます。今では皆が長生きになって、老夫婦が互いに支えあって生きているような状態では、老人が独りで勝手に生きざまを左右できないという点で、歴史に何かを求めるには限度があるかも知れませんね。
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