2007.1.1 |
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菅 原 努 |
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44. スローライフの難しさ | ||||
明けましておめでとう御座います。私も大動脈解離を患ってから,何とか無事4度目のお正月を迎えることができました。でもその間に昨年3月偶然腹部大動脈瘤が見付かり、私のスローライフは一層厳しいものになりました。でも今年は私個人にとっては記念すべき年なので何とか無事に過ごしたいとその徹底を図らねばならないと思っています。記念すべきとは公的には、私が独りで始めた雑誌「環境と健康」が多くの方の協力をえて第20巻を迎えることであり、私的には4月にダイアモンド婚を迎えることです。 さて、健康のことですが、昨年70歳代の友人が心筋梗塞を患いました。彼はその後何とか病院に文句を言いながらも、それでも病院でリハビリを受け回復に向かって励んでいます。ところが病気が大動脈になると、途端に医師の対応が変るのです。 私の場合、大動脈瘤のある位置が問題のようですが、お医者さんに言わせると私が高齢である、即ち大掛かりな手術など直接の手当てをすることの身体への負担と、これから生きる見込みの長さを天秤にかけると、「まあしばらく様子を見ましょう」ということになりようです。治療も日常の養生も、ただ血圧を上げないこと、に尽きるようです。降圧剤で下げて、生活も血圧の上がるようなことは避けるように、というのが唯一の指導です。これは正に新しい言葉で言えばスローライフの実現です。日常の予定を仕事を減らして十分に休養をとる、これは何とか出来るでしょう。日常生活で興奮したり、腹を立てたり、いらいらしたりしないで、何時もゆったりとした気分でなどと言うのは、言う易く、現実にはつい忘れがちです。あまり喜んで有頂天になると血圧が上がるから気をつけろ、その途端に脳出血でころっといくぞ、とは亡くなった運動生理学の万井正人君の研究成果による格言でした。身体を動かすことは矢張り大切だと思って出来るだけ歩くように心がけていますが、それも血圧が上がらないようにゆっくりと。しかし、目の前にバスが着たりするとつい走ってしまうのです。走れば間に合っても、いや血圧に悪いと、次のバスを待つ事にして、走らないというのは、よほどしっかりとしないと出来ません。つい走ってしまうことがありますが、次を待つ心のゆとりを持つべく何とか努力をしているのです。 私も昔医師として心臓のことは多少勉強をしましたが、大動脈のことになると、全くの素人です。そこで主治医に教えてもらいました。腹部大動脈は正常では直径2cmくらいだそうです。これが一部が膨らんで太くなったのが動脈瘤ですが、直径が5cmをこすと破裂する危険が高いそうです。私のその少し手前の4cm位ですが、少しづつ大きくなりつつあります。それを思うと、かっとしかかっても、嗚呼駄目だ落ち着かねばと、動脈瘤を思い出しては一生懸命気を静めるのです。 でもさいわい、私の場合は、未だ頭の方は新しい発見や、考えに共感する感受性は残っているようです。その一端を今まで雑誌「環境と健康」の余白に、Random Scope(無差別拾い読み)として連載してきました。今年からこのホームページ(百万遍ネット)に新しい項目<科学の前線散策>をもうけ、そのなかの幾つかを順次ご紹介することにします。
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