2004.11.1
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菅 原 努
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18. 難聴の難しさ | ||||
さて、これからが私の意見ですが、先ずこの答えでは本末転倒していると思います。補聴器について質問をする人は、普通に話をしていてよく聞き取れないからで、何デシベルといった値が先にあるわけではないのです。今の医学が先ずデータという偏りがここにも出ています。次に騒音環境や多人数との会話には今の補聴器は役に立たないというのが私の実感です。健康な耳では騒音があっても、多人数が話していても、誰かの話に注意を集中して聞くことが出来ます。ところが補聴器をつけると耳に入ってくる音を全部増幅するものですから、騒音は一層やかましくなり、大勢の声が一度にわっと入ってきて何がなんだか分からなくなります。耳が遠くなったら例え補聴器をつけていても、ある方向からの声だけを聞くように、耳のうしろに手をかざしてその方向を向くというのが唯一の今での方法です。拡声器のある部屋では、それが一方向からだけなら幸いで、その方向に手をかざせばよいのですが、スピーカーが複数あるとそれも難しくなり、私はもう話を聞くのを諦めます。今の補聴器というのはそれ程不完全なものです。 そこでジギタルですが、これで周波数別に増幅を調節できます。従って検査成績の曲線は如何にもよくなります。私などは高音部の聴力が大きく落ちているので、それを増幅して聴力曲線は見事に正常に戻ります。ところがそれで何でもよく聞こえるかというとそうではありません。私はクラシック音楽が好きだったので、オーケストラを聴きますがバイオリンやフル−トはよく聞こえますが、コントラバスなどの低音は全く聞こえません。これについての私の解釈は、今の聴力検査は人の話の周波数の範囲だけを問題にしているので、音楽の音域をカバーできていないのではないか、ということです。多分そこまで聞こえると会話には邪魔になるかも知れません。そこで、会話用と音楽会用と言った機能別の補聴器が必要になるでしょう。残念ながら耳の専門家に音楽好きがいないのでしょうか、それとも自分で経験しないから分からないのでしょうか、そのような物が作られたという話は未だ聞きません。もう一つは、前にも書きましたが、目的に合わせて聞き方を訓練することが必要だということです。これは補聴器を使う上でのことですので、補聴器を売る以上、そのような訓練の場を設けるといって工夫が欲しいものです。 耳の後ろに手をかざすというのは、本当に役に立つのですが10分もすれば手がくたびれてしまいます。そこで友人のビニール屋さんに、手に代わるものを作ってくれるように頼みました。もし出来てきたらまたこの欄を通じて試験結果をお知らせしましょう。楽しみにして待ってください。
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