自動車交通事故のリスク50年(24)
《 各暦年における年齢層別人口10万あたりの歩行者死傷数の推移 》
主任研究員 武田篤彦
1. 基礎データ
交通事故統計年報(総務省警察庁、(財)交通事故統計センター、1962年〜2004年、人口10万当たりの年齢層別死傷者数の推移 = 年齢、死者数、負傷者数、(掲載は不定期))
2. データの検討
前回(シリーズ23,2月1日掲載)と同様に、1966年〜2004年の各歴年における全歩行者の自動車事故の年齢層別負傷者数の実数および当該人口から求められた、1歳(一部は1歳未満)〜69歳までの年齢階層について、原則5歳年齢間隔で、計算により得られた69歳までの人口10万あたりの負傷者数を計算してグラフ化しました。なお、前回掲載しました「死者」についての同様の数値との比較は、次回に行ないます。
2―1. 1966年〜2004年の5暦年間隔でみた5歳年齢層における人口10万あたりの負傷者の推移
死者の場合と同様に0〜4歳から65〜69歳年齢層までの14年齢層について計算し、暦年経過に伴う平均年間負傷者数の変化を図1に示しました。図1によれば、負傷者は暦年の早い時期の5〜9歳年齢層が最も多く、0〜4歳年齢層がこれに続きます。両者の経年変化をみると1971年を最高にして急落し、1976年からは直線的な減少を示しました。最近の数値を最高時(1971年)の値と比較すると、前者は16.0%、後者は44.0%となっています。その他の年齢層をみると、1971年における各年齢層における負傷者数そのものが小さく、30〜34歳年齢層の88人から65〜69歳年齢層の201人のあいだに収まっています。そのほかに、1987年ころからの25〜29歳年齢層の負傷者漸増の傾向が注目されます。
2―2.0〜4歳の5暦年平均した人口10万人あたり負傷者にたいする各暦年平均数値の比較
図2は、0〜4歳年齢層を基準として他の年齢層の負傷者数を人口10万あたりで比較したものです。これによれば、図1でみられた5〜9歳年齢層と0〜4歳年齢層で顕著であった暦年の経過に伴なう減少は認められなくなっています。このことは、この年齢の負傷者の多発を意味しています。また、1987年から他の年齢層にも暦年の経過に伴なう負傷者漸増の傾向が、認められます。
図1 歩行中負傷者(人口10万あたり)
図2 歩行中事故負傷者(人口10万あたりの比、年齢0-4=1)
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