2006.8.1

             
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リスクと生活

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自動車交通事故のリスク50年(17)
《 年間12ヶ月の死傷数と事故件数の推移(5) 》

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

  交通事故統計年報(総務省警察庁、(財)交通事故統計センター、1965年〜2004年、月別交通事故発生状況の推移=事故発生件数、死者数、負傷者数、(掲載は不定期)) 人口統計(総務省統計局、2005年)

2. データの検討

 今回も前回同様に、まず、基礎データに示された45年の各暦年における各月の事故発生件数、死者数、負傷者数について、各月の人口10万あたりの数値を求めました。そして、これを5暦年ごとに分割して9グループ((1)〜(9))に編成しました。また、この各グループの年間(12ヶ月)平均値を計算し、それを基準として各月の数値との差異を求め比較しました。

 そして今回は、最早暦年である1960年の単年度データを基準として選び、その各月の数値を1としたときの各暦年グループの数値について、事故発生件数、死者数、負傷者数の比較をおこないました。

 

2-1. 事故発生件数(図1)

 グラフの9本相互の類似点に注目してこれの区分を試みましたが、はっきりした傾向はみられませんでした。基準の1960年を含むグループ(1)と(2)は、1.2程度のやや高い値を数値を示し、グループ(3)はかなり高くなっています。グループ(4)と(5)は一転して最低値をとり、グループ(6)ではグループ(2)と同等の高値を示し、以後、グループ(7)、(8)、(9)の順に上昇しています。

 月別でみると、1月が2.5と高い最近のグループ9)の場合に漸減の傾向がみられますが、“比”が1.5以下のグループでは年間の増減傾向は顕著でありません。総じて5月、6月はやや高値を示していますが、年末に高いということはないようです。いずれにしても、グループ(6)、(7)、(8)、(9)と暦年が1985年から2004年へと進むにつれて“比”は増加し、最新のグループ(9)では1月の2.5近傍から12月の2.0近傍へと高いままで、憂慮すべき状況です。

 


図1 1960年を1としたときの各暦年グループの平均事故発生件数

 

2-2. 死者数(図2)

 グラフ(図2)からは、暦年1960年から1974年につづくグループ(1)、(2)、(3)はいずれも“比”が通年ほぼ1を超えていること、そして1975年から1999年の(4)、(5)、(6)では一転して、“比”がほぼ0.8以下の低値をとっていることがうかがえます。その後の(7)、(8)はやや増加傾向に反転しましたが、最近2000年〜2004年のグループ(9)で最低値0.7近傍に達しました。

 月別にみた高値は、1、3、5、8の各月に認められます。低値は9月に始まり翌年の2月につながっています。

 

図2 1960年を1としたときの各暦年グループの平均死者数

 

2-3. 負傷者数(図3)

 グループの順位をみると、最新グループ(9)が約5倍と大きく、つづいてグループ(8)、(7)、(6)の順に低下します。1960年〜1964年のグループ(1)が“比”の1(基準値)近傍から、暦年が推移するとともにグループ(4)、(5)、(2)の順に増加しますが、グループ(3)はどういうわけかグループ(7)にならぶ特異的に高い値を示しました。近年のグループ(9)、(8)、(7)、(6)の暦年1985年〜2004年に、負傷者数の“比”が経年的に増加していることは注目されます。

 月別にみた変動では、グループ(7)、(8)、(9)の4月、7月にわずかな減少、11月、12月、1月に微増が観察されます。グループ(2)〜グループ(6)には、年間わずかな減少が認められる程度で、大差はありません。

図3 1960年を1としたときの各暦年グループの平均負傷者数