2006.4.1
... | ... | |||||
主任研究員 武田篤彦
交通事故統計年報(総務省警察庁、(財)交通事故統計センター 1965年〜2004年) 2. データの検討 今回は、基礎データ所載資料のうち各年毎月の死者数、負傷者数および事故件数について、1960(昭和35)年から2004(平成16)年までの45年間にわたる数値を経時的に観察し、暦年の進行に伴い各月に現れる傾向の推移を検討することとしました。実際には、暦年が65年と長期にわたるため大要を把握する必要があり、何年か連続する暦年に区切って平均値を求め、その類似性や相違点に注目することになりました。 1) 各月の死者数にみられる4グループの暦年変化(図1) 各暦年の毎月死者数のグラフ化にあたって簡略化を図るため、45暦年を4グループ(A:1960年〜1967年)、B:1968年〜1983年、C:1984年〜1993年、D:1994年〜2004年に分けて考察しました。4グループのグラフが示すパターンは、暦年の進展とともに低値をとることがわかります。 最も初期のAグループの大きな特徴は、年始から下降し7月〜8月を底にしたのち上昇に転じるような、下に凸の経過をとったことです。これにつづくB、C、D 3グループの特徴は、暦年の経過とともに各月死者数がほぼ均一であることと、暦年の経過とともに減少を続けている点です。
図1 45暦年の各月死者数の4区分と全平均(人口10万あたり)
2) 各月の負傷者数にみられる3グループの暦年変化(図2) 前項の死者数の場合にならって、45暦年のパターンを検討し、3グループ(A:1960年〜1966年、B:1967年〜1994年、C:1995年〜2004年)に分けて考察しました。このうち早い時期のAグループでは、各月の年間推移が6月〜8月を最大とする、上に凸を示していることが目を惹きます。この暦年時期は先の各月死者による下に凸のパターンにつながっているようです。ただ、各月死者数が暦年推移とともに整然と減少しているのにたいし、各月の負傷者数は逆に暦年の進行とともに増大をつづけていることには驚かされます。このように、暦年でみた年間各月の死者数は周年的にほぼ均一な減少を示し、負傷者数は逆にほぼ均一な周年的増加を呈しています。
図2 45暦年の各月負傷者数の3区分と全平均(人口10万あたり)
3) 各月の事故件数にみられる5暦年平均グループの周年変化 45年にわたる暦年変化を追跡する簡略化策として、1960年〜2004年を5暦年ごとに区切って構成した9グループの各月平均値を求めました。得られた結果を合計9本のグラフにまとめて、図3に示しました(A:1960年〜1964年、B:1965年〜1969年、C:1970年〜1974年、D:1975年〜1979年、E:1980年〜1984年、F:1985年〜1989年、G:1990年〜1994年、H:1995年〜1999年、I:2000年〜2004年)。 グラフはいずれも右肩上がりになっていて、各月の事故発生数は周年漸増をつづけていることがうかがえます。各グループについて、12月の数値を年初のそれと比べると、早い歴年グループ(A、B、C)の比は1.40、1.40、1.58を示し、これにつづくグループDとEでは1.31、1.23となり、とくに直近のグループF、G、H、I(1985年〜2004年)ではこの周年スパイラルの基本レベルが高いために、年間上昇率が1.14、1.15、1.17、1.17と小さいにもかかわらず発生が顕著であるため、今後の推移がたいへん注目されます。
図3 45暦年の各月事故発生件数の9区分と平均
|
|