2006.2.1

             
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リスクと生活

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自動車交通事故のリスク50年(11)
《シートベルト着用の事故抑止効果(3)》

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

 交通事故統計年報(1996年、2003年、(財)交通事故統計センター)

 

表「年齢層別・乗車位置別・シートベルト着用有無別死傷者数」

    表 ((1)~(6)は%)

年齢層

(1)

(2)

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)

着用

非着用

着用

非着用

(5)/((5)+(6))

死者

負傷者

死者

負傷者

死傷者

6 >

0.67

1.61

1.47

5.62

1.60

5.52

0.23

7~12

0.00

0.79

0.41

6.54

0.79

6.40

0.11

13~15

0.00

0.43

0.35

2.47

0.43

2.42

0.15

16~19

4.49

3.89

10.09

9.27

3.89

9.29

0.30

20~24

12.57

13.43

15.21

14.10

13.43

14.12

0.49

25~29

8.30

14.52

10.29

10.96

14.51

10.94

0.57

30~34

6.06

12.53

8.57

8.37

12.52

8.37

0.60

35~39

5.16

9.49

5.88

5.81

9.48

5.81

0.62

40~44

6.13

7.86

4.61

4.29

7.86

4.30

0.65

45~49

7.48

7.54

5.32

4.40

7.54

4.42

0.63

50~54

10.10

9.30

8.06

6.31

9.30

6.35

0.59

55~59

8.45

6.74

5.88

5.25

6.75

5.27

0.56

60~64

7.70

5.08

5.68

4.67

5.09

4.70

0.52

65~69

6.51

3.39

5.37

4.08

3.40

4.11

0.45

70~74

7.85

1.97

5.63

3.40

1.99

3.45

0.37

75~79

5.31

0.97

4.46

2.42

0.98

2.46

0.28

80 <

3.22

0.46

2.74

2.06

0.46

2.08

0.18

[合計]

100.00

100.00

100.00

100.00

100.00

100.00

平均0.42

2. データの検討

 「年齢層別」は、図1の横軸に示してあるように、ほぼ5歳年齢層別からなり、(6>歳)〜(80<歳)まで17年齢層とその合計に区分されています。「乗車位置」は、“自動車運転中”、“前席同乗中”、“後席同乗中・その他”の4位置と“合計”におけるシートベルトの「着用」と「非着用」の実数により、データが構成されています。

 これらのデータを解析するにあたっては、各年齢層の単位人口あたりの乗車率が必要ですが、現在のところ、できていません。そこで、これら年齢層について死者と負傷者における「着用」グループと「非着用」グループそれぞれの合計を100%としたときの、「着用」グループと「非着用」グループそれぞれの各年齢層(計17層)の占める割合を、実数にもとづいて比較検討することにしました。

 実数は「着用」グループと「非着用」グループの死者が1,337と1,973、同じく負傷者は630,288と81,831で、「着用」グループの割合は40.4%と88.5%です。また、死者数と負傷者数を併せた「着用」グループと「非着用」グループでは、631,625と83,804で、「着用」グループの割合は88.3%でした。

 表は、これらの項目について17年齢層別の実数の合計を100%としてその割合を表示したもので、(1);「着用」グループの死者、(2);同負傷者、(3);「非着用」グループの死者、(4);同負傷者、(5);「着用」グループの死傷者(=死者+負傷者)、(6);「非着用」グループの死傷者です。(7)は、(5)/((5)+(6))を表示しています。

 まず、図1についてみると、死者のピークは(20〜24)歳〜(25〜29)歳と、(50〜54)歳〜(55〜59)歳にあり、最大は(20〜24)歳の12.6%でした。同様に負傷者のピークは、(20〜24)歳、(25〜29)歳および(30〜34)歳にあり、最大は(25〜29)歳の14.5%でした。

 図2について同様に検討すると、死者のピークは(13〜19)歳〜(30〜34)歳と(50〜54)歳の2ヶ所にあり、最大は(20〜24)歳の15.2%でした。同様に負傷者のピークは、(6>)歳から(30〜34)歳にわたり、(13〜15)歳に不可解な低値をかかえて(30〜34)歳に広くおよんでいて、最大は(20〜24)歳の14.1%となっています。

 図1と図2からは、死者と負傷者の多い年齢層は「着用」と「非着用」両グループとも類似したパターンを示していることがわかります。「非着用」グループの若年層では負傷者の割合が高くなっていますが、理由は不明です。

 つぎに表の(7)についてですが、これは死者、負傷者の別にかかわらず「着用」グループにみられる着用効果を、「着用」と「非着用」両グループにたいする割合で示したものです。0.5以上なら効果がなく、それ以下の場合は有効であることを示していると解釈しています。

 各年齢層別のシートベルト着用率は不明ですが、これによれば、(25〜29)歳〜(60〜64)歳で0.5を超えており、(40〜45)歳で最大の0.65を示しています。このことは、この範囲の年齢層では「着用」グループにみられる効果は「非着用」グループを超えるものではないことを示唆しています。このことを単純にいえば、この範囲の「着用」グループの死傷率は「非着用」グループのそれを上まわっているということです。

 以上、不十分なデータについて、不完全な検討を加えた結果を記述しました。

 

 

図1 「着用」死傷者の全年齢層の実数にたいする各年齢層の比(%)

図2 「非着用」死傷者の全年齢層の実数にたいする各年齢層の比(%)