2005.10.1

             
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リスクと生活

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自動車交通事故のリスク50年(7)
《高速道路の交通事故50年(3)》

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

  1. 交通事故統計年報(1991年〜2003年、(財)交通事故統計センター)
    高速道路における交通事故発生状況の推移(運転者、同乗者、乗用者の死亡数、重傷数、軽傷数)

2. データの検討

 高速道路供用開始の1963年から今日までの各年の死亡者数、負傷者(重傷者、軽傷者)数は、当初は総務省警察局、現在は上記が発行する「交通事故統計年報」に記載されてきました。その暦年経過は、前々月と前月に掲載しました。今回収集した事故による死傷とシートベルト着用の有無についての統計は、1991年からの記載で短期間のものですが、注目すべき内容があるようですので、ここで紹介します。なお、全道路における事故による死傷とシートベルト着用有無の関係については、このシリーズで追って紹介します。

 表1は、運転者と同乗者について1991年から現在(2003年)までのシートベルト着用の有無で区別した死亡者および負傷者数の推移を示したものです。

 運転者の死亡傾向は、非着用者が減少傾向を示すのにたいし、着用者で漸増しています。(着用/小計)でみた着用効果は1991年の0.50から1.41(2003年)へと2.8倍に増加しました。

 これにたいし負傷者では33.68で、着用することにより負傷者は33.68倍(2003年)になり、1991年の非着用者4.52の7.5倍に相当します。

 非着用者の死亡者と負傷者の双方にみられる減少傾向にたいし、増加傾向のほうは負傷者の着用者で顕著にみられます。これは、運転者にとって注目すべきことです。

 このことは図1-1に示した着用者の全体に占める割合の推移からも認められます。1998年以後に着用者の死者が50%を超え、負傷者が高い割合であることには、驚かされます。

 つぎに表1の同乗者について(着用/小計)をみると、死亡者、負傷者とも低い値を示していて、シートベルトの効果があきらかに認められます。また、図-1によれば全体にたいする着用の効果は、死亡者について20〜30%とほぼ一定の割合を示しました。負傷者は経年的に無視できない増加を示しつづけています。

 シートベルトの功罪やいかに? 今後、一般道路でのシートベルト問題をとりあげます。

表1 高速道路におけるシートベルト着装有無別死傷

1. 運転者

暦 年
死亡者
負傷者
着用
非着用 小計 着用/小計 着用 非着用 小計 着用/小計
1991
97
193
290
0.50
7,416
1,639
9,055
4.52
1992
70
185
255
0.38
7,349
1,601
8,950
4.59
1993
64
177
341
0.36
8,528
1,718
10,246
4.96
1994
72
147
219
0.49
9,576
1,421
10,997
6.74
1995
88
130
218
0.68
9,203
1,407
10,610
6.55
1996
79
133
212
0.59
9,725
1,406
11,131
8.74
1997
96
120
216
0.80
9,903
1,233
11,136
8.03
1998
75
97
172
0.77
10,140
1,064
11,204
9.53
1999
98
81
179
1.21
11,409
851
12,260
13.41
2000
118
95
213
1.24
13,033
809
13,842
16.11
2001
108
91
199
1.19
13,587
510
14,097
26.64
2002
93
85
178
1.52
13,061
467
13,528
28.00
2003
99
70
169
1.41
13,136
390
13,526
33.68



2. 同乗者

暦 年
死亡者
負傷者
着用
非着用 小計 着用/小計 着用 非着用 小計 着用/小計
1991
42 12 154 0.38 2,894 3,849 6,743 0.75
1992
19 96 115 0.19 2,694 3,440 6,134 0.78
1993
28 92 120 0.30 3,053 3,609 6,662 0.85
1994
18 73 91 0.25 3,166 3,470 6,636 0.91
1995
20 86 106 0.23 3,138 3,238 6,376 0.97
1996
18 81 99 0.22 3,430 2,931 6,361 1.17
1997
22 75 97 0.25 3,527 3,068 6,595 1.15
1998
21 77 98 0.23 4,033 3,247 7,280 1.24
1999
19 51 70 0.22 5,142 3,459 8,601 1.49
2000
21 54 75 0.29 5,143 3,273 8,416 1.57
2001
19 77 98 0.27 5,648 3,102 8,750 1.82
2002
19 66 85 0.29 5,481 2,879 8,360 1.90
2003
24 75 99 0.32 5,391 2,879 8,270 1.87

 

図1