自動車交通事故のリスク50年（4）
《道路延長と走行距離からみた死傷者数》

主任研究員　武田篤彦

1.　基礎データ

• 道路統計年報(2003年、国土交通省道路局)：
  道路の現況(1952年〜2003年)
  道路区分：高速自動車国道/一般国道/主要地方道/都道府県道/主要地方道/市町村道
  自動車保有台数の推移(1945年〜2002年)
  自動車走行キロの推移(1950年〜2002年)
  
• 交通事故統計年報(2004年、総務省警察局)：
  交通事故･自動車台数の推移(1925年〜2003年)
  記載項目：交通事故件数/死者数/負傷者数/自動車台数/人口/自動車1万台あたり死者数･負傷者数/人口10万あたり死者数･負傷者数
  

2.　データの検討

• 資料として、1953年から約50年にわたり、3年間隔で6種類の基礎データを連ね、表1に示しました(?道路実延長(km)、?自動車走行距離数(km)、?自動車保有台数(台)、?事故件数(件)、?死者数(人)、?負傷者数(人))。これらのうち、?〜?の数値はこれまでにもお示ししてきましたが、今回新しいのは、?と?であります。暦年変化に伴う相互比較については、次回に譲ります。
  
• なお、?の数値については、道路統計年報の｢保有台数(小型特殊自動車、被けん引車、自動二輪車、原動機付自転車を除く)｣と、交通事故統計年報の｢自動車台数｣のあいだには、かなりの相違がありますが、ここでは事故による死者数と負傷者数に配慮し｢自動車台数｣の数値を採用しました。検討を加えるにあたっては、この不一致がある程度の影響をおよぼすものと考えています。
  
• ｢道路実延長(km)｣と｢自動車走行キロ(km)｣の暦年推移は、図1に示しました。いずれも右肩上がりに増大していますが、後者の上昇が著しいのは自動車保有台数との関係によるものとみて、注目されます。
• 図2について、｢道路実延長1000キロ｣でみた事故件数は、負傷者の場合とかなりよく似た傾向を示しますが、死亡者数については数値が小さくて比較が困難です。
• このことは図3の死亡者数についても同様ですが、｢走行100万キロ｣あたりでの事故件数、死者数と負傷者数は、いずれも1960年代後半から下方指向となり1980年代からは平行に推移しています。逆に1960年代の前半以前をながめると、過去において壮烈な“交通戦争”のあったことを想起させます。そのいっぽうで、走行距離あたりのリスクを現在より減少させることは、今後は困難だろうとの想いがあります。

表1　道路実延長、自動車走行キロ、自動車保有台数、
事故件数、死者数、負傷者数の歴年推移