2005.5.1
自動車交通事故のリスク50年(2) 《死亡事故、この70余年の概観(2)》
主任研究員 武田篤彦
1. 基礎データ
2. データの検討
? 事故1万件あたり: 死者・負傷者数ともに微減ののち、1940年には増加していることがわかります。敗戦の年(1945年)には、死者・負傷者数ともに初期の5年間に比べて増大していることがわかりますが、車両の老朽化、整備不良が原因と推察されます。その後、死者数の比は995年まで減少をつづけ、最近5年間(1999年〜2003年)はほぼ一定しています。負傷者の比は1960年から1975年まで高い傾向を示したのち、1980年以降は1.7〜1.8台の数値で推移して2003年に及んでいます。 ? 自動車1万台あたりでは: 死者数・負傷者数は、初期の5年間に比べて運転環境の整備とともにかなり減少していますが、この減少傾向は死者数については1950年ころから一気に加速され、負傷者数についてもこれに準じて減少しています。 ? 人口10万あたりでは: 死者・負傷者数ともに戦前の5年につづく10年を含めて高い数値が認められています。戦後(1945年)以降については、死者数は1960年〜1975年に高い数値が示されていて、「年間死亡1万人に1人」と深刻なショックを与えました。しかしその後も今日にいたるまで、毎年その半分程度の死者が発生していることは、あまり知られていません。負傷者については、戦後(1945年以降)から急激に増加し、ここ十数年で約18倍に達し推移しています。死者の増加は1.76倍で、人口そのものの増加が2.1倍ですから、負傷者の増加の大きいことがわかります。 死者数・負傷者数と係わる事故件数と自動車台数の相互関係は、次回に考察します。
表 事故1万件/自動車1万台/人工10万あたりの 死者数と負傷者数の経年推移