2005.4.27

             
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リスクと生活

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自動車交通事故のリスク50年(1)
《死傷事故、この70余年の概観(1)》

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

  • 交通事故統計年報(2004、総務省警察局):
    交通事故・自動車台数等の推移=事故件数、死者数、負傷者数、
    死傷者数(加工)、車両台数、人口

2. データの検討

  • 図は、1926年から2003年までの78年間の、?死者数、?負傷者数、?死傷者数、および?死者1人にたいする負傷者の人数比(「負傷者数/死者数」)、ならびに?事故件数を示しています。ただし、この縦軸は収載した暦年の経過年数が長期にわたることから、比較検討を容易にする目的で第2次大戦後に社会が安定し始めたとおもわれる時期として1950年を基準に選び、この年の数値を1として前後の各暦年における数値を比較計算し比率として表現するようにしたものです。重ねて申しますが、縦軸は1950年の実数を1としたときの各暦年の実数の比率を表すものです。また、上記の?は、死者1人にたいする負傷者の割合を計算し、それを1950年の基準値との比較で表現していることになります。
  • 1950年以降に?死者数、?負傷者数、?死傷者数に現れる第1番目のピークはたいへん大きく、???がそろって1970年のほかは?と?が1969年であり、小さい第2番目のピークは?が1979年のほかは????のすべてが1983年にあります。第3番目のピークは、1990年の?を除いて????が1989年にあることを示しています。そして???には2001年にも不十分な第4のピークがあるようにみられますが、??とともに目立ったものではありません。
  • 図に示した「負傷者数/死者数」、つまり上記の?は、1950年の負傷者と死者の実数比((25,450人/4,202人)=6.06)、すなわち“死者1人あたり負傷者6.06人”を基準の1として表現したものです。表1に示したのは、1950年の前後10年間隔の暦年について求めた実数比を基準値と比較した数値です。負傷者数/死者数は、暦年を追って増加し、1970年には約10倍、2000年には約20倍を示し、負傷者の著しい増加傾向は継続しています。戦前(1930年)の微かに高い数値は、戦後とは違った要因の関与も考えられますので、次回以降に考察します。





  • 表1 1950年の数値を1としたときの比較値の経年推移

    暦年
    死者数
    負傷者数
    負傷者数/死者数
    左の数の比
    1930
    2,536
    43,621
    17.20
    2.84
    1940
    3,241
    26,412
    8.15
    1.35
    1950
    4,202
    25,450
    6.06
    1
    1960
    12,055
    289,156
    23.99
    3.96
    1970
    16,278
    981,096
    58.52
    9.66
    1980
    8,760
    598,719
    68.35
    11.28
    1990
    11,227
    790,295
    70.39
    11.62
    2000
    9,066
    1,155,697
    127.48
    21.05

     

  • つぎに、1926(昭和元)年〜平成15年の78年間の死者数、負傷者数、死傷者数、事故件数、車両台数および人口について、その変遷の概要をうかがうため、各実数、ならびに、それらの1926年の数値を基準(1)としたときの比較値の経年推移を、表2に表示しました。これらの各項目の2003年に至る期間の比較値の推移については、次回以降に比較検討することにします。

表2 1926年の数値を1としたときの比較値の経年推移

暦年
死者数
負傷者数
死傷者数
1926
2,035( 1 )
30,282( 1 )
32,317( 1 )
1936
3,484(1.71)
45,323(1.50)
48,807( 1.51)
1943
2,887(1.42)
16,087(0.53)
18,974( 0.59)
1944
3,080(1.51)
11,580( 0.38)
14,660( 0.45)
1945
3,365(1.65)
9,094( 0.30)
12,459( 0.39)
1946
4,409(2.17)
12,655( 0.42)
17,064( 0.53)
1956
6,751(3.32)
102,052( 3.37)
108,823( 3.37)
1966
13,904(6.83)
517,775(17.10)
531,679(16.45)
1976
9,734(4.78)
613,957(20.27)
623,691(19.30)
1986
9,317(4.58)
112,330(23.52)
721,647(22.33)
1996
9,942(4.89)
942,203(24.51)
952,145(29.46)
2003
7,702(3.78)
118,431(39.01)
1,189,133(36.80)

表2(つづき)

暦年
事故件数
車両台数
人口(×1000)
1926
42,226( 1 )
38,693( 1 )
60,741( 1 )
1936
59,444( 1.41)
195,213( 5.05)
70,114(1.15)
1943
16,780( 0.40)
66,306( 1.71)
73,903(1.22)
1944
11,507( 0.27)
81,811( 2.11)
74,433(1.23)
1945
8,706( 0.21)
97,075( 2.51)
72,147(1.19)
1946
12,504( 0.30)
166,647( 4.35)
72,750(1.20)
1956
122,691( 2.91)
1,718,864( 44.42)
90,172(1.48)
1966
425,944(10.09)
9,339,191( 241.37)
99,036(1.63)
1976
471,071(11.16)
30,903,111( 798.67)
113,094(1.86)
1986
579,190(13.72)
50,276,171(1,299.36)
121,660(2.00)
1996
771,084(18.26)
72,030,003(1,861,58)
125,864(2.07)
2003
947,993(22.45)
77,580,658(2,005.03)
127,619(2.10)