2004.8.1

             
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リスクと生活

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火災事故のリスク50年(3)

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

  • 罹災世帯数、死者数、罹災者数(火災年報=総務省消防庁)
  • 全世帯数、住民基本台帳人口(住民基本台帳人口要覧=(財)国土地理協会)

2. 罹災1世帯あたりの罹災者数と死者数

  • 図によれば罹災1世帯あたりの罹災者数は、4.9人(1954年)から2.8人(1997年)へと低下していて、この間の1世帯あたりの平均構成人数の減少をうかがわせます。
  • しかし、1世帯あたりの死者数は、0.02人から0.07人へと直線的な増加を示しましたので、この時期の罹災者数にたいする死者数の割合には0.0039(1954年)から0.0236(1999年)へと、約6倍に達する直線的な増加が認められました。

  • 図にみられる経年変化に関するいくつかの項目の数値と計算値を、表に示しました。計算値は、各項目の1954の数値を基準にしたときの比率です。罹災世帯を構成する平均人数の減少傾向は、全世帯の平均構成人数についても同様に認められます。
  • 罹災世帯数は約1.2倍に増加し、死者数は4倍近くにまで達しましたが、罹災者数は約0.7倍に減少しました。その結果、罹災者数にたいする死者数の比率はほぼ直線的に増大して、5倍を超えたのです。
  • これらのことから、1世帯あたりの平均構成人員が減少する反面、住宅火災に伴う各戸の罹災者のうちで死亡するものの相対的な危険は大きくなり、それが死亡リスクを押しあげていることが考えられます。これは推論ですが、歴年経過に伴う高齢者の増加が、その原因のひとつかも知れません。

 

表 1954年の数値を基準(=1)としたときの各項目の歴年比較
(上段:実数、下段:比較)

暦年
全世帯数
(平均人数)
罹災世帯数
(平均人数)
死者数 罹災者数 死者数/
罹災者数
1954
17,986,314 (4.93)
( 1 ( 1 ))
27,567 (3.56)
( 1 ( 1 ))
525
( 1 )
133,668
( 1 )
0.0039
( 1 )
1964
23,731,367(4.14)
(1.32 (0.84))
35,387(4.31)
(1.28 (1.21))
740
(1.71)
152,363
(1.14)
0.0062
(1.50)
1974
32,627,792(3.36)
(1.81 (0.68))
40,153(3.38)
(1.46 (0.95))
1,646
(3.14)
135,595
(1.01)
0.0121
(3.10)
1984
37,934,575(3.15)
(2.11 (0.64))
37,764(3.17)
(1.40 (0.89))
2,089
(3.98)
119,822
(0.90)
0.0190
(4.87)
1994
43,665,843(2.85)
(2.43 (0.58))
32,560(2.85)
(1.18 (0.80))
1,898
(3.62)
92,768
(0.69)
0.0205
(5.26)
1995
44,235,735(2.82)
(2.46 (0.57))*)
40,372(2.61)
(1.46 (0.73))
2,356
(4.49)
105,335
(0.79)
0.0224
(5.74)

 *) 阪神淡路大震災