2004.7.1

             
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リスクと生活

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火災事故のリスク50年(2)

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

人口(総務省統計局)
建物出火件数、死者数*1)、罹災者数、(総務省消防庁)


*1)「建物、林野、車両、船舶、航空機、その他」の各火災の合計ですが、その大部分は「建物」と考えられるため、この数値を仮に借用しています。

2. 出火1件あたりの罹災者数と死者数(グラフ参照)

  • 出火1件あたりの罹災者数は、5.9人から2.6人へと1/2以上に低下していて、歴年に伴う家族の構成人数の低下を反映しているように見えます。
  • いっぽうで同じ期間の死者数は、グラフの下部にあるためよくわかりませんが、0.02人から0.06人へとほぼ直線的に約3倍まで増加しましたので、罹災者の減少に伴う死者数の減少は、かなり相殺されてしまいました。
  • また、この死者数を罹災者数と比較した結果(%)は、1954年の0.39%から1994年の2.05%へ直線的に増大し、5.3倍に達しています。このことは死亡リスクの増加は、僅かですが持続していることを示しています。

3. 1954年の数値を基準としたときの、いくつかの事項についての歴年比較を、下の表に示しました。

歴年
出火件数
人口10万あたりの
出火件数
出火10万件あたり・人口10万あたりの
罹災者数
死者数
死者数/罹災者数
1954
1
1
1
1
1
1964
1.49
1.35
0.77
1.22
1.59
1974
1.73
1.38
0.58
1.83
3.10
1984
1.69
1.24
0.53
2.13
4.46
1994
1.52
1.07
0.46
2.39
5.26
1995*2)
1.58
1.07
0.52
2.95
5.74

 *2)阪神淡路大震災の災害を含む
   

  • 出火件数は増大ののち横ばいとなっているのに対して、“人口10万あたり”では低下傾向にあるような印象を受けますが、それは人口の増加を反映しているためとおもわれます。
  • この計算によっても、罹災者数の半減と死者数の3倍増により、6倍近い比率の増加が認められました。