2004.5.1

             
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リスクと生活

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自動車交通事故死の24時間と30日

菅 原  努


 先月の記事で自動車交通事故死亡率が欧米では30日までのものであるのに、我が国のそれは24時間までのものになっている、ということを書きましたが、早速表を作った武田篤彦博士から「我が国でも厚生労働省が30日までのものを発表している」と言って、このような表を送られてきました。

表 自動車交通事故死亡者数

年次
24時間後
30日後
比率
人口(×1,000)
平成6(1994)
10,649
12,768
1.20 125,265
7
10,679
12,670
1.19 125,570
8
9,942
11,674
1.17 125,864
9
9,640
11,254
1.17 126,166
10
9,211
10,805
1.17 126,486
11
9,006
10,372
1.15 126,686
12
9,066
10,403
1.15 126,926
13
8,747
10,060
1.15 127,291
14
8,326
9,575
1.15 127,435(推定値)

〔出典〕交通安全白書(平成15年版)

 この表を見て私が問題にしたいのは24時間後と30日後との死亡者数の比率です。30日後には直後とも言うべき24時間後までの死亡に比べて死亡者数が20−15%増えていいます。これは一応急性の傷害による死亡はまぬがれたが、やはり本当に回復出来なかった人が15−20%あると言うことでしょう。でも気になるのはそれが段々減ってきていることです。これは事故直後の手当てがよくなって24時間生き延びればあとは大丈夫と医療の進歩を喜んでよいのか、反対に事故そのものが激しく致命的なものが多くなったために、生死が24時間で決まってしまうということなのでしょうか。

 この表の数字だけからは、このうちどちらかを決めることはできませんが、減少がゆるやかで最近の数年間は15%に一定しているということは、前者即ち救急医療システムと技術の進歩によると言う考えを支持するように思えますが、如何でしょうか。自動車事故死亡率そのものも下がりつつあるのは、事故数は減ってないが死亡は減ったということで、やはり同じ理由によるのでしょうか。その点は残念ながらまだデータが不足です。でも一市民としてこれは大事な点ではないでしょうか。