2001.2.13

 
 
御影石から放射線が出ています

  これまでに、天然原子炉(アフリカ)やキュリー先生が研究したウラン鉱石、インド・ケララの黒い砂浜、そして国内外の放射能泉について、お話してきました。よくみると、この話題に登場するものは、どれも大地に深く関係しています。それでは、私たちが生活する地域では、それはどうでしょうか。実は、やはり放射線が出ている、つまり大地は放射能を持っているのです。

 大地をかたちづくる土、砂、砂利、岩石には、ウランやトリウムなどが含まれていて、放射線を出しています。このため、私たちは日常、地面からだけでなく、コンクリートの建物の中でも、壁や、天井、床などから出ている放射線を受けています。それは、コンクリートの骨材である砂や砂利が放射能をもっているからです。

 東海道新幹線の列車に大地放射線を計る装置を積んで走りますと、有名な丹那トンネルなどトンネルにはいると、放射能は急に高くなります。これは、トンネ ルは山をくり抜いていますから、通過する列車が周囲の岩盤からの放射線を受けている ことを示しています。反対に、木曽川のように幅が広い川を渡る鉄橋では、川底まで離れているので、ほとんど計れません。

 日本をはじめ、ハワイやフィリピンなどの火山の噴火は、高温で溶けている地下のマグマによって生じる現象です。マグマが地上に出てできた岩石のなかに、花崗(こう)岩があります。その 例として有名なのは神戸市の六甲山脈で、花崗岩の別称「御影石」は地名の御影町によ るものです。花崗岩には、金や銀などの貴金属や重金属が含まれることが知られていますが、放射性元素であるウランやトリウムも入っているのです。

 そのため、花崗岩が広く分布している西日本では大地放射線が多いのです。また、御影石でつくられた鳥居や墓石、道路の敷石などからも、放射能が出ていることが測定できます。大地放射線は、私たち受ける自然放射線の約1/3に相当します。

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