2000.5.8
 

 平成12年健康指標プロジェクト講演会要旨

第13回 (5月20日、14時〜17時、京大会館102)
腸管上皮内リンパ球と腸管免疫
石川 博通
(慶應義塾大学医学部微生物学教室)
 

 

 一層の円柱上皮細胞(intestinal epithelial cells : IEC)で形成される我々の腸管粘膜表面は優にテニスコート一面分を越えます。このIEC数個に一個の割合で膨大な数の上皮細胞間リンパ球(intestinal intraepithelial lymphocytes : IEL)が分布することは一世紀も前から知られていました。このIELのほぼすべてがT細胞であることは10数年前に初めて明らかにされました。それ以降、IELが胸腺由来の由緒正しいT細胞とは著しく異なったT細胞であることや、大多数のIELが腸管粘膜局所で発達分化することが提示されました。しかしながらIELの腸管粘膜における発達分化機構や粘膜最前線での生体防御機能はよく分かっていませんでした。われわれはIEL前駆細胞が発達分化する未分化リンパ球の小集積がマウス腸管粘膜固有層の陰窩(crypt)に多数分布することを見出し、これらをcryptopatch(CP)と命名しました。本講演ではCPに集積する未分化リンパ球の特性やCPでのIEL前駆細胞の発達分化を紹介するとともに、IEL、主としてγδ型T細胞抗原受容体を保持するγδーIELの粘膜最前線における生理的機能について解説したい。

 

 

 
 

 

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