第75回「いのちの科学」例会(終了)
(原則として非公開:連絡を頂ければオブザーバで参加できます)
日 時:2022年9月17日(日)14:00〜
場 所:生産開発科学研究所 3階会議室
14:00〜15:00 委員会
15:00〜17過ぎ 話題提供話題提供者:宮越順二(京都大学・生存圏研究所・特任教授)
演題:生活環境の電磁波は健康に影響しているか?〜研究と評価の国際動向を中心として〜
要旨: 現在、我々の生活環境には種々の電磁波が飛び交っている。1990年代前半に、米国で、高圧送電線近傍での極低周波(商用周波)電磁場により、小児白血病が増加しているという論文に注目が集まり、その後1990年代後半には、特に、世界中で携帯電話の汎用化や携帯電話基地局の新設などが急速に進展し、このような高周波ばく露による脳腫瘍の増加が社会的に危惧されてきた。一部の疫学研究では、携帯電話の長時間通話者において、脳腫瘍の増加が示唆される論文も発表された。世界保健機関(WHO)は、電磁環境の健康影響について、国際的調査の重点化をテーマに、1996年に国際電磁波プロジェクト(International EMF Project)を立ち上げ、これまで活動を続けている。通信や医療、さらに近い将来の無線電力伝送技術など、多種多様な電磁環境は、ますます増加の一途をたどるであろう。放射線と同様、電磁環境は目に見えないこともあり、電磁波の健康への影響について不安を抱いている人が多い。ここでは、電磁環境と健康について、世界保健機関(WHO)や国際がん研究機関(IARC)をはじめとした、国際機関による健康評価活動を中心に紹介する。
略歴: 令和4年4月1日 現在
〇 氏名: 宮越 順二(みやこし じゅんじ)
〇 E-mail:miyakoshi@rish.kyoto-u.ac.jp (自宅:junjimiyakoshi@gmail.com)
○現職: 京都大学・特任教授
○最終学歴:1981年3月31日 大阪市立大学・大学院医学研究科修了
〇 職歴:
1981年 4月1日 京都薬科大学・薬学部・助手
1985年 4月1日 京都大学・医学部・助手
1987年 4月1日 カナダ・アルバータ大学付属がんセンター特別研究員
1989年 4月1日 京都大学・医学部・講師
1996年 4月1日 京都大学・大学院医学研究科・助教授
2002年 9月1日 弘前大学・医学部・教授
2010年 5月1日 京都大学・生存圏研究所・特定教授
2016年 4月1日 現職就任、現在に至る
○主な社会的活動:
(海外)
・世界保健機関(WHO)− 国際がん研究機関(IARC)「ELF発がん性評価専門委員会」ワーキングメンバー
・世界保健機関(WHO)− ELF環境保健クライテリア(EHC)・EHC作成タスク会議メンバー
・世界保健機関(WHO)− 国際がん研究機関(IARC)「RF発がん性評価専門委員会」ワーキングメンバー
・国際電磁環境学会 (Bioelectromagnetics Society) (BEMS) 理事 (Board Member) など
(国内)
・総務省「生体電磁環境に関する検討会」委員
・公益社団法人 日本アイトソープ協会 理事・放射線安全取扱部会長
・日本放射線影響学会 評議員 など
○専門分野: 放射線基礎医学・電磁波生命科学
○主な著書:
・ハイパーサーミア(菅原努、阿部光幸・監修)マグブロス出版 (1984) (分担執筆)
・電磁波生命科学(宮越順二・編集)京都大学学術出版会(2005)
・放射線医科学(大西武雄・監修)(宮越順二、他・編集)学会出版センター (2007)
・生物・生体・医療のためのマイクロ波利用(堀越智・監修 NTS出版(2020)(分担執筆)
・Advances in Electromagnetic Field in Living Systems: Vol.5, Health Effects of Cell Phone Radiation (J .Lin, Ed.), Springer(2009)(分担執筆)
・ Biological and Medical Aspects of Electromagnetic Fields, Fourth Edition, The Handbook of Biological Effects of Electromagnetic Fields (B. Greenebaum and F. Barnes, Eds.), CRC Press (Taylor & Francis Group) London (2019) (分担執筆)など
出席者:宮越順二、、村田翼夫、小西淳二、山岸秀夫、小野公二、奈倉道隆、小川 侃、本庄 巌、中井吉英、内海博司、小林宣之