第41回「いのちの科学」例会 (終了)
日 時:2012年4月21日(土)14:00〜
場 所:パストゥールビル5階 会議室((公財)体質研究会)
14:00〜15:00 委員会
15:00〜17過ぎ 話題提供話題提供者: 泉井 桂先生(近畿大学客員教授、京大名誉教授)
「シックハウスガス(ホルムアルデヒド)を吸収・除去する植物の開発」要旨: シックハウス症候群の代表的な原因物質はホルムアルデヒド(HCHO)とされている。国際的にも、その室内濃度は0.08ppm以下に保つよう規制されている。建材や家具などから持続的に室内空気中に放出される微量のHCHOを手軽にしかもエレガントに除去する方法として、観葉植物の利用が考えられる。しかし、植物自体のHCHO除去能力は極めて低いので、私たちは遺伝子操作によって植物のHCHO吸収除去能を飛躍的に高めることを目指し、実際に成功した。
メタノール(MeOH)を唯一の炭素源として生育できる MeOH資化性細菌のあるものは、MeOHをHCHOに酸化したのち、これをペントースリン酸に固定して同化する。私たちはこの代謝経路上の2種類の酵素の遺伝子をモデル植物のシロイヌナズナとタバコに導入したわけである。この原理を観葉植物にも適用すれば、室内空気の浄化に役立つ植物ができると期待される。(特許を取得)
HCHOは植物に対しても強い毒性をもつが、その作用機構は明らかでない。私たちは、シロイヌナズナをHCHOを含む空気に短時間曝露し、その間に発現が変動する遺伝子をマイクロアレイ法によって網羅的に調べ、いくつかの興味深い手掛かりを得ることができた。
また、イネについても同様の形質転換を行い、これに成功したので、さらにメタノール、次にメタンを資化するための遺伝子導入を目指している。
「環境と健康」25巻3号に掲載予定
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