第34回「いのちの科学」例会 (終了)
日 時:2010年12月18日(土)14:00〜
場 所:パストゥールビル5階 会議室((公財)体質研究会)
14:00〜15:00 委員会
15:00〜17過ぎ 話題提供話題提供者: 光谷拓実 先生 (大学共同利用機関法人
人間文化研究機構総合地球環境学研究所 研究推進戦略センター客員教授)
要旨:社会性昆虫の一つであるミツバチは、独特の社会を形成しています。はじめにミツバチの社会と構成メンバーの役割、さらに情報伝達の仕組みについてお話します。次に、ミツバチの恵みについてお話します。私達がミツバチから得ているものには8(ハチ)の恵みがあるといわれていますので、これらの恵みについて紹介します。この中で、最近問題になっている蜂群崩壊症候群(CCD)と花粉媒介のミツバチ不足にもふれます。日本には、養蜂用に輸入され飼育されているセイヨウミツバチと、日本の在来種のニホンミツバチが生息しています。普段食用にしているハチミツはセイヨウミツバチ由来で、日本古来のニホンミツバチのハチミツは生産量が少なくて市場には出回っていません。最近、ニホンミツバチを愛好し、飼育する人が増えて来ましたが、商業的な養蜂に使われていない理由についてお話します。私達はニホンミツバチとセイヨウミツバチの違いに着目して研究を行なっています。ニホンミツバチに特有の現象としてキンリョウヘンという東洋蘭へのニホンミツバチの集結について紹介します。東洋蘭の花の誘引物質が、実はニホンミツバチの大顎腺由来の集合フェロモンであり、蘭はそのフェロモンを化学擬態してニホンミツバチを誘引しているという結果が得られました。次に、ミツバチの天敵(スズメバチ)への対抗手段を取り上げ、これらに対する我々の研究を紹介します。従来からニホンミツバチは蜂球の中に天敵を閉じ込めて熱殺することが知られていましたが、熱殺の詳しいメカニズムを研究し、炭酸ガスや水蒸気の濃度を高めて効果的に天敵に対抗していることを発見しました。講演はパワーポイントを用い、その中で画像や動画も織り交ぜて説明をいたします。
「環境と健康」24巻4号に掲載予定
出席:今西、中井、清水、栗原、奈倉、篠山、山岸、内海
客員:村松