1999.11.1 revised.

 
ハイパーサーミア(がんの温熱療法)とは
 

 

 ハイパーサーミアとは腫瘍の局所を42〜43℃以上に30〜60分加温する治療法で、 放射線療法や化学療法と併用することによって、その効果を著しく高めるものです。

ハイパーサーミアとは

 ハイパーサーミア(がんの温熱療法)は、古くて新しいがんの治療法です。紀元前から熱を使ってがんを治そうという治療法がありましたが、それが近代の科学的治療法として研究開発されるようになったのは、極めて最近のことです。

 原理としては、がんの局所を42−43℃に加温することによって、正常組織を守りながらがん細胞を殺してがんを縮小させようというものです(詳しくはハイパーサーミアの原理その他の項を見て下さい)。原理は簡単ですが実際はなかなか容易ではなく、私達日本ハイパーサーミア学会のメンバーは、昭和50年(1975年)の小さなグループから始まり、物理、工学、生物学、臨床医学が力を合わせて努力をしてきました。その結果、放射線や制ガン剤との併用、場合によっては単独での種々の治療法が工夫されました。また、その為の装置としては、新技術開発事業団(現在の科学技術振興事業団)の研究費によって「サーモトロンRF-8」が開発され、昭和59年(1984年)に我が国最初のがん治療用の医療用装置として厚生省の認可を得ました。

 この治療法は厚生省では電磁波温熱療法というかたちで、昭和60年に新しく出来た高度先進医療という制度に早速とり入れられ、さらに平成2年(1990年)から、放射線併用電磁波温熱療法が健康保険の適用になり、現在では温熱単独治療でも保険が適用されるようになっています。

 このハイパーサーミアは残念ながらまだ医師の間でも十分理解しておられる方が少なく、当然一般の方々にはなじみが薄いようです。そこでこの新しい治療法について少しでも理解を深め、一人でも多くの方がその恩恵に浴して頂きたくこのホームページをつくりました。

     日本ハイパーサーミア学会名誉会員
京都大学名誉教授
菅 原  努


お問い合わせ先: thermot@taishitsu.or.jp