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   平成21年度 事業計画書
 

 

I  公益事業

   

1.調査研究事業

   
(1 ) 高自然放射線地域住民の疫学調査研究
   
 

 (財)体質研究会は、中国広東省に存在する高自然放射線地域(HBRA)に注目し、中国の研究者との共同研究により、地域住民の健康におよぼす低線量放射線の影響調査(疫学調査、線量調査および染色体異常調査)を実施してきた。また、中国とは生活様式、生活習慣が大きく異なり、中国より高い自然放射線線量を示すインド・ケララ及びイラン・ラムサールにおいても同様な調査を行っている。

 今年度は、中国における調査・研究をさらに継続し、データの蓄積を図ると共に、コホート内の小集団について症例・対照研究を実施し、観察結果の信頼度をより強固なものにする。また、がんリスク評価においては、これまで、実効線量にて評価を行っていたが、臓器線量にて評価するため、これに必要な線量測定を行う。
  インドにおいても同様の調査を実施し、中国で得られた結果と比較可能なデータを蓄積する。一方、イラン・ラムサールにおける調査・研究については、国際情勢の変化により、スムースな研究活動が困難になっている。このため、現地の研究者との関係を保ちながら、状況を慎重に見極め、個人被ばく線量の評価を中心とした調査につき、その可能性を検討する。

 

(2 ) 放射線リスク評価に関する調査
   
 

 (財)体質研究会は、1983年に放射線リスク検討会を組織して以来、自由な発想のもとに放射線のリスクに関心を持つ研究者を集め、育てると共に、原子力、放射線利用への理解を深め、放射線リスクについての正しい認識の社会への浸透を図り、原子力・放射線利用の社会的受容の道を探るなど、放射線のリスクについての人々の理解を得る方策につき検討を進めてきた。

 今年度は最近のICRP新勧告など国際情勢に対応したテーマを取り上げる。ICRP新勧告では、国際的な環境問題への取り組みの背景を受けて、ヒト以の生物の系統だった放射線評価のために、生物環境での放射線効果を確認する科学的基礎を備えることが必要であるとし、標準動物(reference animal)や標準植物(reference plant)を設け、ヒト以外の種について放射線評価の総合的取り組みが必要としている。このような動向に対応して自然環境における標準動物あるいは植物についての予備調査を行う。さらに、原子力発電所における事故対策、検査体制(安全対策)および、事故後の信頼性回復の問題などについても検討課題とする。

 

(3 ) 放射線照射利用の促進
   
 

 放射線照射技術は工業、医療、農業など多くの分野で使用されているが、その利用の実態は一般公衆には、全くといっていいほど知られていない。
 そこで、本事業では、一般公衆の放射線に関する認識を高め、また、放射線の利用についての理解をいっそう深めること、さらに、放射線のさらなる利用の促進とその範囲の拡大を図ることにより国民生活の利便向上に資することを目的に活動を展開している。

 これらの目的を達成するため、今年度も引き続き、以下の事業を実施する。

 
   
(1
) ニューズレター発行:JAPIニューズレター(A4版、12頁)を年6回発行し、放射線の基礎知識をはじめ、放射線の理解に役立つ情報、各専門分野の最新情報などを、会員を中心として、関係機関、関係者に提供する。
(2

) ホームページによる情報提供・広報活動:放射線照射利用に関する最新情報を提供すると共にJAPIニューズレターを掲載、公表する。

(3
) 講演会(公開)・見学会の開催:放射線照射利用関する学術研究及び産業での利用技術の最新情報、あるいは、放射線照射に関する知識を普及するため、公開講演会を開催する。また、放射線に関連した施設の見学会を実施する。
(4

) 関連団体との交流:放射線照射利用に関係する団体、学会および業界などと交流を深め、連携し、幅広い情報の収集と活動の広がりを目指す。

 

(4 ) いのちの科学の研究・普及事業
   
 

 従来の医学における治療や予防の研究は、要素還元主義に基づく分析と多数の測定結果によって評価されてきた。しかし、それだけでは解決できない現象が治療や予防の上で見られている。
 そこで、要素還元主義を離れ総合的な立場で、しかも科学的に医療や予防の効果を評価する指標の研究開発を平成10年度から行っているが、この立場から、平成17年度から新たに始めた「文理融合」をテーマにした多面的ないのちの科学の研究に引き続き、今年度から「共に生きる」をテーマとしたいのちの科学の研究を始める。

a.市民公開講座「いのちの科学フォーラム」を年4回程度開催する。
b.委員を中心とした例会を5〜6回開催する。
c.新シリーズ出版の企画を検討する。

 

2.アイバンクに関する事業

   
 

 京都大学医学部附属病院眼科と連携して角膜移植に協力するため、引き続き次の事業を行う。

 

A.眼球提供者の登録業務、献眼の受付業務を行う。
B.登録者を少しでも増やすため次の啓蒙・啓発活動を行う。
  イ.アイバンク関係機関誌の登録者等への発送
  ロ.医療機関等へのポスター・パンフレットの設置・補充
  ハ.「手づくり市」等での啓蒙活動

 

3.研究成果の公開事業

   
 

 調査研究等活動の成果を積極的に社会に還元・発信するために、引き続き次の事業を行う。

 
   
(1 ) 機関誌刊行事業
 機関誌「環境と健康」を年4 回[季刊・部数1,100部(内100部は市販用)・P.120〜P.160]発行する。
 内1,000部は、会員及び関係者に配布する。又100部については、昨年度と同じく、(有)共和書院を発売所として全国の主な医学系書店で市販する。定価一冊800円(税込み)
Vol.22  No.2 を平成21年6月1日に、
 〃  No.3 を平成21年9月1日に、
 〃  No.4 を平成21年12月1日に、
Vol.23 No.1 を平成22年3月1日に刊行する。
   
(2 ) ホームページ「百万遍ネット」http://www.taishitsu.or.jpの維持管理
   
(3 ) 癌の温熱療法の普及啓発
イ.  ホームページ上に設けている「ハイパーサーミア(癌の温熱療法)」の維持管理を図る。
ロ. 患者からの相談メールに対応し、温熱療法実施医療機関への紹介等を行う。

 

II 収益事業

   
 

I の公益事業の実施に伴い、附随的に行う収益事業として次の事業を行う。

 

1.ボンナリネ等発売事業

   
 
  (株)ナウカコーポレーションが総販売代理店として市販を行っている、ナリネ菌を主体とする健康食品「ボンナリネ」及び「ボンピュアー」並びに「ビュークレール」について、当財団を販売者として名称使用することの許諾を継続する。
   

III その他の事業

   

1.研究助成並びに奨励事業

   
 
 大学、本財団の研究事業に適合する学会や、協会、研究機関及び個人に対する助成を行う。