2008.4.1

 
 
科学の前線散策
 
 
16. バイオ燃料としてアルコールに代わるもの

菅 原  努


 

 

 今バイオ燃料としてエタノールが注目されていますが、これは原料が食料と競合するほか、蒸発し易い、水に溶ける、エネルギー密度が低い、と言った欠点があります。このような点で、これに代わる液体バイオ燃料が研究されています。その中で 2,5-dimethylfrun(DMF)というのが注目されているようです。この著者達はフルクトーズからこのDMF をつくる方法を提示しました。材料となるフルクトーズはバイオマスからもグルコーズからも得られます。重要な点は、このDMF は 40 %エネルギー量が多く、蒸発温度が高く、水に溶けないことです。

 私はこの分野は全くの素人ですが、バイオ燃料といえばエタノールか食用油の廃液くらいしか知らないので、まだまだ新しい可能性を目指した研究が展開されていることを、皆さんもお知らせしたいと思ったのです。

 ただ最後に商業化の道はこれからの課題であると書かれています。確かにバイオ燃料として広く使われるのは、それに相当した販売網が確立されなければならないでしょう。なお、これは Nature の編集者が 2007 年の論文から選んだ中に含まれていた注目すべき論文の一つです。